日本で#MeToo運動を立ち上げた女性:オスカー候補となった衝撃的なドキュメンタリー が一人の女性の勇気ある物語を描く

アデル・エネル、ジュディット・ゴドレッシュ、その他世界中の#MeToo運動のリーダーたちより先に、このジャーナリストは日本で告発者となり、その物語を2025年アカデミー賞にノミネートされた衝撃的なドキュメンタリー映画『Black Box Diaries』で語っている。

その内容はいかなるものか?

ちょうど今から10年前の2015年以来、伊藤詩織さんは、当時の首相に近い有力な男性による性暴力を受けて以来、日本社会の旧態依然とした慣習に挑み続けてきた。単独で、メディアと司法のシステムの欠陥に直面しながら、独自の調査を進め、沈黙を打ち破り、真実を明らかにするためにあらゆる手段を講じる覚悟だ。

この「ブラックボックス」とは、「内部の仕組みが隠されている、あるいは理解が難しいシステム」を指す用語である。監督は日本はブラックボックスの国であり、この社会でブラックボックスを開け始めたときに何が起こるかを私は学んだという。そしてこの映画は、私の加害者に対する正義の追求や、左右両陣営の政治について扱うものではなく、むしろ、ある女性の体験、つまり私のブラックボックスが、すべての人の目に晒されるという証言なのだと。

 

○一人称で語られる衝撃的な映画

この勇気ある映画は、ビデオ日記という形式をとっている。4年もの歳月をかけて編集されたこの作品は、伊藤監督が自ら撮影した映像、監視カメラの映像、そして文書などを集めたものだ。映画監督は、過度に生々しい映像は流さないことを選択し、観客にこれから流れる映像が不快感を与える可能性があることを事前に伝えるイントロダクションから映画を始めている。

それでも、主人公が自死を試みる前にメッセージを残す場面など、見るのがつらいシーンもある。映画『Black Box Diaries』が際立っているのは、まさに一人称で語られている点だ。

「性暴力を取り上げ、この重要な問題を浮き彫りにする映画はこれまで数多くありますが、それらは他の誰かによって制作されているものがほとんどだった」と、監督は海外映画祭向けの資料で強調している。

「被害者自身が制作した映画は、私は見たことがありません。私にとっては、すべてを見せ、観客に私の立場に立ってほしいと思ったのです。たとえ、今の私なら選択しないかもしれない決断をした場面であっても。」

この映画は世界60カ国以上で上映されたが、日本ではまだ公開されていなかった。やっと明日12月12日に『Black Box Diaries』は、日本で公開される。「世界中を旅して、映画祭に参加し、観客と会うことは素晴らしいことです。しかし、自分のトラウマについて何度も何度も話し続けることは、私にとって負担でもあります。私のチームと私は、日本での公開劇場はまだ見つかっていないため、こうした旅を続けることを選びました。国際的な話題性を生み出せば、彼らは私たちを無視できなくなるだろうと考
えているからだです。
私は、物語と、物語が物事を動かす力について、強く信じています。
私は、物語と、物語が物事を動かす力について、ジャーナリズム、映画、フィクションやドキュメンタリー、そして音楽を通じて、強く信じています。私の映画を上映するツアーでは、同じようなトラウマを抱えている人や、そのような経験をした親しい人がいるという事実を知って、本当に驚きました。」
日本での公開が決まる前に、伊藤詩織・監督はこう述べている。
映画中に欧米ではあまりにもよく知られている「I will  survive」を伊藤詩織・監督が歌うシーンがある。あまりの理不尽さ故に、血のような涙を流しながらも、生きていこうという詩織さんの強い意志を感じさせられた。

12月12日(金)より日本で公開されるこの映画は観た者の心を確かに揺さぶるだろう。

映画『Black Box Diaries
T・ジョイ PRINCE 品川にて2025年12月12日(金)より公開
(C)Star Sands , Cineric Creative , Hanashi Films

文責:Henri-Kénji OÏKAWA+CHARIA ISHIYAMA


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