2017年10月24日、日本外国特派員協会にて、フリージャーナリスト・伊藤詩織さんが、記者会見を行い、沢山のプレスが駆けつけるなか、弊社契約記者のゲイレポーター酒井佑人も出席した。
伊藤さんは、自らの性暴力被害をつづった手記『Black Box』を10月18日に発刊し、元TBS記者によるレイプ被害を告発している。
2年前の悪夢の始まり
「私は2年前にレイプされた。
2015年の4月、当時TBSのワシントン支局長だった山口氏と知り合い、彼から誘われ、山口氏と食事をしながらお酒も何杯か飲んだ後に、突然、意識を失った。激しい痛みで目が覚め、その時に山口氏が私の上にいて、そして私に挿入していたということがわかり、それが今日まで私が直面している悪夢の始まりだ。」
その後の警察組織の対応
「その後、裁判所から逮捕状も出されが、成田空港での逮捕時に、上の方からの命令で逮捕が止められた。
当時の刑事部長が捜査員に逮捕を辞めるように命令をしたことを知り、説明もないままにそういった命令が許される警察組織のあり方に疑問を持った。」
手記『Black Box』について
「ブラックボックスにいかに光をあて、箱を開くのか。そのきっかけに少しでもなればと思い、これまでの記録や調査、そして取材をもとに書きつづったノンフィクションの本を出版した」
不起訴処分を巡り
「その後、検察の不起訴という判断に対し、検察審査会への不服申し立てを行ったが、現在の司法では、起訴ができないという結果になり、
私も弁護士も検察審査会に呼ばれることはなく、議決が出たあともそれに対する説明はなく、結果は、不起訴処分の裁定を覆す理由がないとの事だが、その内容の具体的な説明は一切ない。完全に非公開である前提とはいえ、一度も説明の機会を与えられなかったことなどは、さらに私の中に疑問を生む結果となった。」
本で一番伝えたいこと
「私は、捜査や司法のシステムの改正に加え、社会の意識を変えていくこと、そしてレイプ被害にあった人の救済システムの整備が必要だという事を一番伝えたい。7月から改正刑法が施行され強姦罪は「強制性交等罪」という名称に変わったが、
レイプ被害者の7割がフリーズ状態に陥るという結果が出てるのに対して、暴行脅迫要件の緩和がされていない。さらなる議論の為に、この本が助けになることを願っている。」
と全体の会見を通し、レイプ被害は、遠い誰かの話ではないということを世間に訴えた。
その後、記者からの質問で
「部下が詩織さんに対してとった行動というのは、理解ができない。」
と元TBS同僚の行為を非難する声も上がった。
会見の最後には
「これが自分の妹、友人に起きた場合、彼らはどう対応できるだろう?どういう道をたどるのだろう?と思ったときに、もうこれ以上彼らに負担をかけたくない。これが起こったときに、自分が今話さなかったことにおいて、繰り返されることがすごく、悔やまれると思い、この本を書くことによって、自分や、自分の大切な人のことに置き換えて考えること。
これから先、このような事件が起こるとしたら、まわりの方が理解することがとても大切だ」
と話し、会見は幕を閉じた。
取材&文:酒井佑人(ゲイレポーター)
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