【フランス発】国民議会議員選挙で分かった二大政党制の終焉~これは世界に伝播する!

月刊『正論』8月号に小池百合子・東京都知事のインタビューが載った。彼女は自身を日本の「マクロン」だと述べている。ご承知の通り、7月2日に行われた東京都議会議員選挙は小池新党「都民ファーストの会」の歴史的勝利だった。自民党は23議席まで落ち込み、民進党も5議席と惨敗だった。二大政党が共に大敗し、新党が台頭する……という構図は6月18日に行われたフランス国民議会議員選挙でも見られた。

5月にフランス大統領に39歳の若さで就いたエマニュエル=マクロン氏は国民議会議員選挙に備えて、新党「共和国前進」を設立し461名の候補者を立て、連携する中道主義政党「モデム」は76名の候補者を立てた。

フランス国民議会議員選挙は小選挙区制でフランス本土と海外県・領土・海外から成る577の選挙区で構成される。二回投票制で6月11日に第一回投票が行われ、上位二候補者が6月18日の決戦投票に進む。

結果は次の通りだ。

【与党】=マクロン政権の与党
共和国前進:308議席
モデム:42議席

【右派&中道】=サルコジ政権の与党
共和党:112議席
民主無党派連合:18議席
右派系諸派:6議席

【左派】=オランド政権の与党
社会党:30議席
急進左翼党:3議席
欧州エコロジー=緑の党:1議席
左派系諸派:12議席

【急進左派】
服従しないフランス:17議席
フランス共産党:10議席

【極右】
国民戦線:8議席
立ち上がれフランス:1議席
極右系諸派:1議席
【その他】
レージョナリスト(地域主義派):8議席
諸派:3議席

国民の期待を裏切ったオランド政権の失敗

共和党や社会党からも一部現職が合流したとはいえ、マクロン新党「共和国前進」はほとんどが新人で政治の素人ばかりだった。同党と連携したモデムは現有2議席から42議席へと躍進した。にわか仕立てに創られた新党+モデムが圧倒的多数派になると誰が予想しただろうか。

「変化」「チェンジ」(changement)をうたって誕生したオランド左派政権(2012-2017)は国民の期待を見事に裏切り、末期は支持率が20%程度と低迷した。結果は2012年選挙で280議席を獲得したオランド与党の社会党は30議席まで凋落し、さらに選挙後、2名が落選した。日本でいえば民主党が政権交代したものの期待を裏切り、総選挙2012で大敗したようなものだ。それにしても、30議席という歴史的大敗が故に社会党は消滅の危機にさらされている。さらに、2009年欧州選挙で躍進し、2012年選挙で17議席を獲得した欧州エコロジー=緑の党はどうか。1議席確保するのがやっとだった。

政権奪回に失敗した共和党 躍進した急進左派

一方、共和党はマクロン氏が大統領選挙で収めたとき、自分たちは国民議会議員選挙で過半数をとると豪語した。社会党がこけたのだから、二大政党制の一翼をになう自分たちが今度は議会で多数派になると信じたのだ。議会で過半数を制すると、フランス政治の慣習では首相を自党から輩出でき、閣僚を選び、組閣することができる。
ところが、蓋を開ければ、2012年で196議席を獲得した共和党はさらに議席を減らし、112議席まで落ち込んだ。同党幹部たちはこの結果に真っ青。こちらも第五共和制(1958-)のもとで行われた選挙で最も議席が少なく歴史的敗退だった。

では、大統領選挙2017で決選投票まで進んだマリーヌ=ルペン党首率いる極右政党「国民戦線」はどうだったか。2議席から8議席となっただけで、議会で会派構成要件となる15議席も獲得できなかった。

そして、大統領選挙で大善戦したジャンリュック=メランション党首が率いる急進左派新党「服従しないフランス」は17議席と躍進した。同党はスペインの急進左派政党「ポデモス」や米国大統領選挙の民主党予備選で善戦した民主社会主義者・バーニー=サンダース上院議員に影響を受けて創立された新党だ。
同党は7月3日にベルサイユ宮殿で行われた上下院議員を前にしたマクロン大統領の演説をボイコットして、その夕刻、レピュブリック広場で政治集会を開いた。「確かな野党」として勢いを増している

●二大政党制は終わるのか

日本で小選挙区並立制が導入されたとき、これで政権可能な二大政党制の時代が訪れると喧伝された。しかし、現状を見る限り、自民党が政権奪回した2012年以降、一強他弱という事態が続いていて、民進党(民主党)が再び政権に就くことを誰が予想しているだろうか。健全な二大政党にはなっていない。
6月8日に行われた英国総選挙でもメイ首相率いる保守党は第一党になったものの、過半数を割り込み、北アイルランドの保守政党との連立政権となった。
そして、フランスである。
フランスでは選挙後、選挙制度改革の議論が行われ、小選挙区制を廃し、比例代表制を導入すべきだという議論が強くなっている。もちろん、それにたいする反対論も根強い。
日本・英国・フランスの政治状況を見る限り、小選挙区制に依る二大政党制は時代に合わないものになっているのかもしれない。時代遅れの感もある。
では、フランスの選挙から見て日本の政治状況はどうなるだろうか。
もしかしたら、自民党&公明党政権が行き詰まったとき、それに代わるのは、民進党ではなく、多党派から成る新党になるのかもしれない。たとえば、「都民ファーストの会」が国政進出し、政変再編するような……。
とにもかくにも、フランスでは二大政党が崩壊の危機にあり、素人ばかりの新党が政権党となっている。明日の日本を見いだせるかもしれない。

*映像は7月3日のパリ集会で演説するメランション「服従しないフランス」党首

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