俳優トム=ハンクスに「グラン・エスプリ」を見る@東京国際映画祭

Mr. トム=ハンクス(左)と 戸田奈津子さん(右) photo by OIKAWA Henri-Kenji

それは夢のような体験だった。
まさか、俳優トム=ハンクスに取材する機会を得られるとは……。

10月17日、六本木ヒルズ。東京国際映画祭2013(Le Festival du film de Tokyo)のオープニング・セレモニーを前に多くの取材陣とファンと関係者が集った。
16時に開会が宣言されると、グリーン・カーペットを、フェスティバルミューズを務める女優・栗山千明さんを先陣に、佐野史郎さん、奥山和由さん、宮川大輔さん、美保純さん、長澤まさみさん、岡田将生さん、寺島しのぶさん、役所広司さん、三谷幸喜さんなど女優・俳優・監督・プロデューサーが歩いて、おおどりはハリウッドの大御所・トム=ハンクスとポール=グリーングラス監督が歩いた。

ファンは熱狂的だった。サインを求めるべく、役者の名前を大声で連呼し、応じなければ、罵声を浴びせたり泣き出したりするする人もなかにはいた。そういう状況だから、日本の役者がサインや歓声に応じることはほとんどなかった。
トム=ハンクスには「トム、プリーズ。プリーズ」コールが起こった。

トムの態度は立派なものだった。
当方から「東京」について尋ねられると、

「東京に来たのは4回目かな。この町は大好きだ。いつもこの人が迎えてくれるしね」

と同時通訳の戸田奈津子さんを紹介して、客のほうをふりむいて、

「こんなに熱狂的なファンがいるなんて私は光栄だ」

と述べ、映画の見所について解説を始めた。

トムは観客にときおりサインする奇跡をみせ、取材者ひとりひとりに時間をとって丁寧に接した。そのため氏がステージに上がるのには1時間近く時間を要した。

「身近なアイドル」が時代の趨勢になり、一億総アイドル化・アーティスト化した感がある。しかし、アイドルは偶像だ。AKB48は「近接感」「近しさ」を醸し出しているがそれは幻想・ファンタジー・illusionとしての装置に過ぎない……とまではいわないがそれに近かろう。

アイドルは 遠くにありて 思ふもの

というのが、かつての共通感覚・共通了解だ。

お客様は王様(Le client est roi.)とはいえ、ファンにこびたり卑屈になる必要はない。
ファンの気持ちは理解できなくもなくもないのだが、サインを求め拒まれ悪態をついてしまう客層の前を、俳優・監督が素通りしてもせんないだろう。攻めるつもりはない。

ただ、客に呼応するトム=ハンクスの堂々とした態度に感心させられた。
主催者・歓客・同時通訳・報道陣にも実に誠実に接せられた。
見事というしかない。
さすがだ。

トム=ハンクス主演作『キャプテン・フィリップス』のポール=グリーングラス監督も、ファン・サービスに徹してた。
アメリカ合州国のゲストと我が国の差はなんやろうか……と「おもてなし」スピリッツについて考えさせられた。

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