非核化と平和体制への展望 特派員協会 志位和夫「日本共産党」委員長、縦横に語る

共産党の志位和夫委員長が4月18日午後0時半をめどに、東京の外国特派員協会で記者会見した。

志位氏は、森友学園や加計学園をめぐる問題や自衛隊日報問題などで安倍政権を批判している。また北朝鮮の非核化をめぐっては対話路線を主張している。来年の参議院選では、野党間の連携も焦点になる。

■冒頭発言

北朝鮮問題に対する、日本共産党の立場と行動について

志位:こういう機会を与えていただいたことに感謝いたします。日本共産党の志位和夫でございます。北朝鮮問題に対する、日本共産党の立場と行動について、今日はお話をさせていただきます。4月6日、日本共産党は北朝鮮問題の解決に向け、関係6カ国、米国、韓国、中国、北朝鮮、日本、ロシアに当てた要請文を発表し、関係国に伝達するとともに、在日大使らとの懇談を重ねてまいりました。日本共産党は北朝鮮の核兵器ミサイル開発に断固反対する立場を取ってきました。同時に破滅をもたらす戦争だけは絶対に引き起こしてはならないと訴えてまいりました。

この立場から、問題の解決のためには経済制裁の強化と一体に、対話による平和的解決を図ることが唯一の道だと主張してきました。節々で、党の声明や談話を発表し、関係各国および日本政府に働き掛けてきました。世界は私たちが求め続けてきた方向に劇的に動きつつあります。4月27日には南北首脳会談が行われます。その後、初の米朝首脳会談も行われる予定です。

今日、日米首脳会談、冒頭での米トランプ大統領の発言に私は大変注目しております。彼はこう言っています。韓国が北朝鮮と会談し、戦争終結ができるかどうかを議題とする。人々は朝鮮戦争が終わっていないことを理解していない。現在も進行中だ。彼らは戦争終結について議論中だ。こうした交渉について私は支持している、と。南北首脳会談が非核化を議題にするだけでなく、戦争終結を議題にする。そしてトランプ大統領はそれを支持していると言明したことは、大変重要な言明だと注目しております。対話による平和的解決の歴史的チャンスが生まれていると考えます。

要請文:第1の提起 朝鮮半島の非核化、北東アジア地域の平和体勢構築を一体的、包括的に進める

私たちが、今、お渡ししている要請文を作ったのは、この歴史的チャンスをぜひ生かしてほしいという思いからです。要請文は6カ国の政府に同じ内容で要請しています。要請文の作成に当たっては、各国政府の公式の言明、これまでの国際合意などを踏まえ、米国や北朝鮮を含めて、6カ国の全てにとって受け入れ可能な内容になるよう心掛けました。今後、対話と交渉を進めるに当たって特に重視してほしい2つの点を提起しています。

第1は、朝鮮半島の非核化と、北東アジア地域の平和体勢の構築を一体的、包括的に進めるということです。北朝鮮の核武装はもとより、絶対に容認できません。朝鮮半島の非核化は、対話と交渉の最大の目標とすべきであることは言うまでもありません。問題はそれをどうやったら実現できるかにあります。要請文には次のように書きました。非核化を進めるためには、朝鮮戦争の終結をはじめとする、戦争と敵対に終止符を打ち、地域の平和体勢を構築し、北朝鮮を含む関係国の安全保障上の懸念を解決することが不可欠です。

米朝間では朝鮮戦争が国際法上、いまだに継続しています。休戦協定を結んでいるだけで、戦争はなお終結していません。トランプ氏が言及したとおりです。その下で北朝鮮は、核兵器がないと米国から攻撃されるといって、核ミサイルの開発に突き進んできました。繰り返しますが、私たちはどんな理由であれ、核兵器開発には絶対に反対です。同時に、実際に非核化を進めようと思ったら、戦争状態に終止符を打ち、北朝鮮に核兵器がなくても安全だと感じさせるような環境をつくることが必要です。具体的には南北、米朝、日朝の緊張緩和、関係改善、正常化を進める。非核化と平和体制構築を一体的、同時並行で進めてこそ、その両方を見直しすることができます。

非核化のためには北朝鮮が膝を屈するまで圧力を掛け続けるべきだという議論があります。しかし軍事を含む圧力一辺倒で対応すれば、北朝鮮はますます強く核兵器を握りしめてしまうことになるでしょう。それは一触即発の危険な事態をつくり出します。非核化を強く求めながら、それと一体に、地域の平和体制をつくる、そのことによって、北朝鮮を含む関係国の安全保障上の懸念を解決する、そうしてこそ、解決の道が開かれるというのが私たちの考えです。

ウィリアム・ペリー米国防長官が11日の東京都内での講演で、過去の成功と失敗からどんな教訓が得られるかとして、次のように語っています。私が学んだ教訓で最も大事なのは、なぜ北朝鮮が核開発をするのかを理解することだ。われわれが抑止力と呼ぶように、北朝鮮も自らの安全の保障を得ようとしている。北朝鮮にとって経済は重要で、改善させたいと思っているが、そのために彼らは安全保障を失う交渉はしない。私は北朝鮮問題の対応の最前線を担ったペリー氏が引き出したこの歴史的教訓に、真剣に耳を傾けることが大事だと思います。

非核化と平和体制構築を一体的、包括的に進めるということは、2005年9月19日の6カ国協議に関する共同声明で、いったんは各国が合意していることです。6項目からなる共同声明では、第1項で朝鮮半島の非核化を。第2項で米朝、日朝の国交正常化を含む地域の平和体制の構築を規定しています。私はこの文章は依然として、北朝鮮問題の解決に向けた最良の外交文書だと考えています。この共同声明に立ち返って解決を図ってほしいと要請しました。

日本人拉致問題についても解決に向けたチャンスが生まれています。要請文には次のように書きました。この問題を05年の共同声明、02年の日朝平壌宣言に基づいて核ミサイル、拉致、過去の清算、国交正常化などの諸懸案を解決する包括な取り組みの中に位置付け、解決を図ることを求めます。拉致問題を今、起こっている朝鮮半島の非核化と地域の平和体制の構築を、対話と交渉によって進めようという流れの中に、包括的に解決すべき諸懸案の1つとして位置付ける、これが解決の道だと考えます。

要請文:第2の提起 非核化と平和体制の構築の実行方法

要請文で提起した第2の点は、実行方法の問題です。非核化と平和体制の構築は、まず目標として合意されることが望ましいことはいうまでもありません。ただ目標として合意されても、それを一足飛びに実現することは困難だと思います。私たちの要請文では、その実行方法に当たっては、合意できる措置は話し合って、1つずつ段階的に実施して、目標に近づいていく。段階的アプローチが現実的方法だということを提起しました。

関係国の間、特に米朝の間には強い相互不信があります。互いに相手を信頼できない。ここから出発って、どうやって前に進むか。段階的措置を双方が誠実に実施することによって相互不信を解消し、信頼醸成を図りながら進む、これ以外にありません。この点についても、05年の共同声明の第5項で約束対約束、行動対行動の原則に従い、意見が一致した事項についてこれらを段階的に実施していくと確認されていることは、極めて重要です。

国際社会が行っている経済制裁をどうするか。行動対行動の原則で対応すべきです。要請文にはこの原則に従い北朝鮮が非核化の意思を表明し、それに向けた行動を取るまでは、国際社会が行っている北朝鮮に対する経済制裁は継続されるべきです、と書きました。北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動に踏み出せば、国際社会による経済制裁の見直しが問題になってくるでしょう。

私が強調したいのは、経済制裁はそれ自体が目的でなく、対話と交渉を前進させるための手段として位置付けられるべきだということです。そうはいっても05年の共同声明は実現していないではないかという意見もあるでしょう。確かにその具体化の過程で困難に直面し、実を結んでいません。私はその原因は、行動対行動の原則が守られなかったことにあると考えます。基本的には北朝鮮の合意に反する行動が問題ですが、米国の側にも問題がありました。歴史から冷静な教訓を引き出し、今後に生かすことが必要です。この問題の解決までには長い時間と大きな忍耐を必要とするでしょうが、この原則を守って目標に近づくことが、唯一の方法だと私たちは考えています。

以上、2点が私たちの要請文の中心点です。要請文はすでに在日大使館などを通じ、6カ国の政府にお届けしました。北朝鮮政府に対しては、ジュネーブの代表部に届けるとともに、朝鮮総連を通じて本国に届けることを依頼しました。それに加えまして、モンゴルは6カ国協議の参加国ではありませんが、北東アジアの重要な国であり、大使にお会いしてお届けしました。ASEAN諸国との協力が大切と考え、本日、これから議長国のシンガポール大使、ベトナム大使とお会いする予定です。

各国大使、公使は要請文の趣旨に基本的に賛同できるという反応

各国大使、公使などとの懇談では、要請文の趣旨に基本的に賛同できるという反応が寄せられています。日本に日本共産党のような立場を取る政党が存在し、正論を主張していることは心強いという評価もいただきました。日本政府については9日に安倍首相と党首会談を行い、要請文を直接手渡しその内容を説明しました。日本政府としても、こういう方向で開始されている対話による平和的解決のプロセスを成功させるために対応してほしいと求めました。安倍首相は、対話による外交的解決を図ることは基本です、要請文はよく検討しますと応じました。安倍首相から要請文に対する異論や反論は、一切出されなかったのが印象的でした。

率直に言って、この問題でも安倍外交は大きな破綻に直面しています。これまで安倍首相は、対話のための対話は意味がない、北朝鮮が非核化の意思と行動を示すまでは、対話に応じるべきでないと繰り返してきました。対話して圧力一辺倒、そして軍事力行使容認、この立場を繰り返してきたというのが安倍首相の対応です。しかし現実は違った方向に動きました。対話による外交的解決の方向に大きく動きつつあります。安倍外交の破綻は、今や明瞭だと思います。日本政府にはこれまでの方針の転換と、今、起こっている対話による平和的解決への積極的コミットが求められているということを強く指摘しておきたいと思います。

前途には大きな困難も予想されます。仮に包括的な目標で合意したとしても、それを具体化、実行していくプロセスは時間のかかる困難なプロセスになるでしょう。しかし対話による平和的解決の試みが成功を収めれば、北東アジア地域の情勢は一変します。そのために日本共産党として引き続き知恵を力を尽くしていく決意であります。どうもありがとうございました。

■質疑応答

米英仏によるシリア空爆についてどう思うか

フランス10:フランス10の及川と申します。2点、伺います。シリアで塩素ガスが使われた問題で、ノーベル平和賞受賞団体の化学兵器禁止機関、OPCWが14日から現地調査するのに13日、英仏はシリアを空爆しました。志位委員長はこの米英仏によるシリア空爆をどのようにお考えでしたかということが1点。

もう1点が、連合の会長が野党結集の旗印として慶應義塾大学の井手英策先生の、「オール・フォー・オール」という経済理論を使いたいと言っています。志位委員長、共産党は井手英策さんが唱えた「オール・フォー・オール」という経済政策についてはどのようにお考えでしょうか。以上、2点で。

志位:まずシリアの問題について言いますと、化学兵器が使用されたと。これは誰によるものであれ、人道と国際法に反する行為であり、絶対に許されないことは言うまでもありません。ただ、今ご質問でもあったように、その犯人を特定するプロセスが始まっている下での攻撃だったというところが非常に重大な点です。すなわち化学兵器禁止条約の実施期間であるOPCW、化学兵器禁止機関が現地のシリアで調査を開始するのが14日でした。米英仏の空爆は国際社会が化学兵器の犯人を特定する前に、そして国連の授権もなしに行われたものであり、私たちは厳しくそれに抗議するという談話を発表しました。

トランプ政権は昨年も同じような攻撃を行いましたけれども、現地の情勢の改善に寄与しないばかりか、悪化につながったというのが事実だと思います。化学兵器使用については国際社会によるきちんとした調査が必要です。そしてシリアの問題については類似の国連安保理決議が示しているように、関係者の対話による政治的な解決による、内戦の政治的な解決が必要です。

もう1つの質問の「オール・フォー・オール」についての感想でありますが、私たちとは立場が違います。一番の違いは消費税をさまざまな問題の財源に充てると。消費税頼みの議論だということです。私たちは富裕層と大企業に応分な負担を求める改革を提案しております。

女系天皇についての党としての立場とは?

フランス10:フランス10の及川と申します。2点伺います。まず女性宮家の創設や女性天皇、女系天皇については日本共産党はどのようなお立場なのかということが1点。もう1点がもし日本が他国から侵略をして個別的自衛権を発動した場合、これは戦争にほかなりません。それで、戦争では国際人道法違反としての戦争犯罪が生じることを想定しなければなりません。しかし日本には戦争犯罪を扱う法体系が整備されていません。日本共産党は軍司法制度を整備する必要があるかどうか、どうお考えかと。整備する必要があるとしたらどのように進めるべきだとお考えか、以上、2点伺えればと。

志位:まず女性天皇、あるいは女系天皇については、私は両性の平等という大きな流れに照らして、これを認めていくという方向が自然な方向ではないかと思います。もちろんそのためには国民的な合意が必要です。
日本が侵略された場合の個別的自衛権についてのご質問です。私たちはそうした場合に、自衛隊の活用も含めてあらゆる手段を使って、主権を守る措置を取ることは当然だということを表明しています。ただこれは非常事態に対する非常的対応です。現憲法の下で、軍司法制度のようなものをつくっていくということには、私たちは賛成できません。

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