2018年3月19日、「民進党」増子輝彦、幹事長による記者会見が党本部にて、行われた。
■冒頭発言
森友問題 証人喚問・国政調査権発動の必要性について
【増子幹事長】
現在、参議院では予算委員会集中審議が行われていますが、定例の記者会見をただいまから開催させていただきたいと思います。
予算委員会の集中審議、私も我が党の難波奨二議員・大野元裕議員の質疑について傍聴させていただきました。はっきり申し上げて、すれ違いが多く、なかなか核心部分について明快な答弁がなされてないという不満と、モヤモヤした気持ちが大変強く残っております。今も進行中ですが、やはりこの森友学園疑惑については、国民の皆さんが、「本当は何なんだろう。その真実を知りたい」と、そういう思いが非常に強いものがあると私は思っております。
例えばこの週末、各マスコミの世論調査がございましたが、これを見ても、内閣支持率が軒並み10ポイント以上下がったということも含め、また、「昭恵夫人を国会に証人喚問するべき」ということが、ほぼ平均して65%近くある。安倍内閣の責任問題についても、麻生大臣の責任問題よりもはるかに多いものがそこに示されている。国民の皆さんから見れば、この世論調査一つとっても、「真実は何なのか。どういうことが起きてきたのか知りたい」という気持ちが大変強いと改めて感じているわけであります。
あわせて、実は先週の金曜日から全国統一の街宣を我が党も始め、有楽町での大塚耕平代表の街宣はもちろんのこと、私もあわせて福島での街頭演説を当日やってまいりましたが、さらにそれぞれの地域での反応・声を聞きますと、やはり安倍政権に対する国民の不満・不信が蔓延しているということを非常に強く感じているわけでありまして、この問題、徹底的に私どもは、まずはこの中身について引き続き追及していかなければいけないし、国民の皆さんにその中身を明らかにするという責任もまたあると痛感しているわけです。
同時に、この問題については、なぜ文書が改ざんされたのか。その目的、誰の指示で誰がどのような形で行ったのかということも、またこれ全く明らかになっていないわけです。これについても私ども、全容解明が何よりも今求められておりますし、国民の皆さんが納得するような形をつくっていかなければいけないだろうと、そういうふうに強く思いながら、引き続き徹底的に解明していきたい。
その際に必要なのは、やはりここの中に非常にブラックボックスのようなものがある中で、どうしても証人という形でおいでいただきたい方がたくさんおられるわけです。佐川前国税庁長官はもちろんのことですし、やはりこの森友学園疑惑の発端は何といっても安倍総理夫人の昭恵さんがその大きな原因であることは国民の皆さんも感じ取っているわけですから、昭恵さんにもぜひ真実を語っていただきたい。総理が妻に聞いたけれども、全く関係ないというようなことをおっしゃったということですが、それはわかりません、夫婦の間のことは。やはり昭恵夫人にもぜひ国会証人ということでおいでいただきたいと思っていますし、また総理夫人付(当時)の、今イタリアに行っている谷査恵子さんについても、ぜひ真実を語っていただきたい。あわせて、売買取引当時の理財局長だった迫田元国税庁長官にもぜひおいでいただいて証人喚問をやっていきたいと、そういう思いを持っております。
今の状況ですと、あすもまた参議院予算委員会の一般質疑がセットされたと聞いておりますので、きょうの予算委員会の終了後、もしくはどんなに遅くともあしたじゅうには、これら証人喚問の決議をしていただきたい。
佐川さんについては、与野党でほぼ合意しているという状況が想定されておりますが、まだわかりません。はっきりと、佐川さんについてもできるだけ早く決議していただいて、国会においでいただきたいと思っております。
与党が万が一引き延ばすようなことがあるのであれば、これは言語道断であり、また立法府としての国会の使命や責任が果たせないということになってしまい、与党の中からも出ている声が無視されるということ。これはある意味では国会そのものが死んでしまうという状況にもなりかねないと私は思っておりますので、しっかりと証人喚問を早く決議していただきたいと思っております。
同時に、責任問題でありますが、これは財務省の一部に責任を押しつけるということではなくて、最終責任者は佐川さんではありません。きょうの質疑の中でもだいぶ麻生大臣もこのことについて大野議員に詰め寄られておりましたが、やはりこの監督責任は当然麻生財務大臣にあるわけですし、ひいては、公文書管理あるいは情報公開等を含めさまざまな観点からいっても、この問題についての最終責任者は安倍総理本人そのものだと思っておりますので、この責任についても追及していきたいと思っているところです。
先ほど申し上げたとおり、今回の財務省の文書改ざんの問題等を含めた一連、虚偽答弁は立法府と行政府の問題でありまして、私は、国政調査権の発動が必要であろうと。国会法104条の発動によって、国会にしっかりとした調査機関を設置すべきだと思っておりますし、そういう要求もさせていただいておりますので、できるだけ早くこの国会に調査機関を設置すべきということをさらに強く主張しながら、何とかその実現にこぎつけたいと思っております。
野党結集の呼びかけについて
【増子幹事長】
こういう状況の中で改めて感じることは、今、政治の中で最も残念なこと、不幸なことは、政権選択というものがないという状況があるわけです。
私も政治改革にずっと、1990年に衆議院に初当選以来、今もその途中だと思っておりますが、政治改革の一つのポイントは、政権交代が可能である政治状況をつくりたいということで自民党を離党して今日まで歯を食いしばって頑張ってきたわけでありますが、一強多弱のこの状況を何としても打破するために、政権選択ということを国民の皆さんにしっかりとしていただくための政治状況をつくり上げていかなければいけないと思っています。
そのためにも、先週大塚代表が記者会見あるいは外でもお話しさせていただいております、改めて野党の結集を図ることが極めて重要だということも、今、痛感しているところです。
これについては、まずは立憲・希望・民進、この3党の党首会談をできるだけ早期に開催すべきだと私は思っております。そのためにはぜひ野党第1党の立憲の枝野代表にもその主体性を持って呼びかけていただきたいと思っておりますし、また大塚代表からもそういう意味では呼びかけをしてほしいということを、実は先ほども大塚代表にお願いしたところです。
経済政策について
【France10・及川局長】
民主党政権時代の経済政策を今どう総括されているか。幾つか数字を挙げると、実質GDPは旧民主党政権時代、2010年が493兆、11年が495兆、12年が500兆。これは福田政権の07年が506兆だったので大変低迷と言える。第2次・第3次安倍内閣の実質GDPは、13年度が513兆、14年度が510兆、15年度が517兆、16年度が527兆だ。また、一般会計の税収の推移を見ると、10年から12年度の一般会計税収が平均43兆円で、この四半世紀で最低の水準だった。こういう数字を見て、民主党政権時代の経済政策をどう総括されるのかが一点。
もう一点が、消費税を上げることの正当性について。増子幹事長は「All for All」の経済政策を評価するとおっしゃっていたが、井手先生の著作を読むと、財源は消費税にして、再分配をして富の格差をなくすということだが、総務省の12年の家計調査によると年収300万円以下の方の消費性向が0.8なので、月25万円の収入で月20万円消費、ここに消費税8%で毎月1万6千円、年間で19万2千円になる。もし「All for All」が実現した場合、年収300万円以下の人に消費税分の年間約20万円分が戻ってくるのか。
【増子幹事長】
民主党政権の経済政策、ご案内のとおり、自民党政権が長く続いて、高度経済成長時代にずっとその経済成果を謳歌してきたという日本の歴史の中で、バブルがはじけて、そして政治がおかしい状況になってきて、その上で民主党政権という形になったことは、もうこれは明らかであります。
ですから、人口減少社会に突入した時代から考えていくと、大きな高度経済成長はもう日本では考えられないということ。これを前提として考えた場合、GDPの伸びもそんなに大きくなることは考えられないという前提に立たなければなりません。ましてや、デフレというものが本当にずっと続いてきた。
特に消費動向が経済の6割から7割を占めるという、この経済の中身も変わってきたという状況を考えますと、何度も申し上げますが、人口減少社会に入ったということを前提とし、なおかつデフレが長く続いたということ。民主党政権の時はそのあおりを受けたと言っても言い過ぎではない状況の中で、私たちは政権を担当したわけです。
ですから、無駄を省くということを一つ大きな目標に掲げて、事業仕分けもやりましたが、思ったほどの財源も捻出できなかったことの反省も踏まえながら、どうするかということで、野田さんが総理大臣として消費税の引き上げを考えた。それは高齢社会に入ってくれば当然、医療・介護、この問題についての大きなお金が必要になってくるわけです。ですから、消費税引き上げ部分についてはここに回すという前提の中で、勝てないということが明々白々な、安倍さんからのクエスチョンタイム(党首討論)における挑戦を受けてあえて戦ったということがあります。あれ、もう少し頑張って任期満了まで解散をしなければ、経済指標は少し上向きになってきました。これは今ご指摘のとおり、民主党政権の最後の時にGDPが500兆円台に復活したということがその一つの証明だと思います。
ですから、実は「その恩恵」を安倍さんが受け継いできた中で、株価を上げていくということ、まさにアベノミクスの一番の柱の異次元の金融緩和と、大胆な財政出動、そして成長戦略という「3本の矢」。その二つのものが、まさに一つの効果があった。
しかし、株価の恩恵を受ける方は限られた方です。大企業、株の投資専門家。国民全体から見ればこの恩恵を受けている方々は少ないということを考えていくときに、この政策が全国津々浦々にトリクルダウンで恩恵があるということは全くないわけですから、そういう意味では、アベノミクスが株価、大胆な財政支出ということだけで本当に効果があるとは私は到底考えられません。
株価の上昇で、企業の内部留保を含めて、収益やいわゆる総額の価値が上がってきた等々も含めながら、GDPは伸びてきていることは事実ですが、しかし、今お話しのとおり527兆円ということになると、わずか27兆円ですよね、そういう意味では
ですから私は、民主党政権の経済政策も決してバラ色の経済政策ではなかったけれども、自民党政権の負の遺産を受け継いで、順調に上昇に転じていくというところに実は政権交代がまた起きたということで、安倍さんのアベノミクスの若干の株の引き上げと大胆な財政支出によっての効果が、この程度の成長というか、GDPが膨らんだということにつながってきているのだろうと思っています。一番経済政策が弱いと指摘されているところは我々も謙虚に受けとめなければなりませんが、これらについては必ずしも、アベノミクスは成果があったとか、非常に大きな経済的成果が上がって評価するということに至っていない。
これからますます、地方の経済を中心として、人口減少・人手不足等も含めて大変だなと今私は大変心配をしておりますので、しっかりと経済政策も立ち上げていかなければいけない。
特に東日本大震災のいわゆる復興需要がもうほぼ陰りが見えてきましたから、特に東北を中心としたところの復興需要の後、特需の後の対策は極めて難しく、また悩ましい問題ということも我々真剣に考えていかなければいけないと思っております。
さらに消費税の問題、「All for All」については、今お話があったとおり、やはり300万円の収入がない方は仮に消費税が上がったとしても絶対的な消費量は少ないのですね。ところが1000万円以上、もっと言えば3000万円以上の所得がある方々が同じ消費税の比率で消費をすれば金額が大きいですから、そのデコボコを調整して、たくさんの収入がある方はそこではじき出す、収入のない方はそこで受け止めるということで、平均値でお互いが助け合っていく。
「All for All」、まさにこの政策が日本の格差社会の一つの解消になってくるのだろうと私は思っています。
同時に、今我々が極めて深刻に考えていかないといけないのは、生まれた時のその状況が最後まで続いてしまうという、格差を修正することができない社会になりつつあるというか、なっているのです。300万円の収入しかない方は、そこに生まれた子どもたちはそのままその社会生活の中で過ごしていかざるを得ないという環境が出てしまっているというところに大変な危機感を持っていますので、やはりかつてのジャパニーズドリームといいますかアメリカンドリーム的なものが全く形成できないという社会状況を、少しでも解消していかなければいけない。
まさに、格差社会をどのような形で是正していくか。消費税というものは、ある意味では重税ということもあるかもしれませんが、一つの手だてであることは間違いない。税制全体の改正というものも当然視野に入れていかなければならないわけですから。
私たちは、「All for All」はオールマイティではないけれども、そういう社会を新しくつくっていくためには、一つの手段であり一つの政策であるということで評価をしているということで考えております。
【France10・及川局長】
スティグリッツ、クルーグマン、アマルティア・セン、ノーベル経済学賞を取った3人がアベノミクスの金融緩和だけは評価している。なぜ民主党政権の時は金融緩和をできなかったのか、端的に伺いたい。
【増子幹事長】
金融緩和をすることによって再びバブルが起きるということを、私たちは大変心配をしておりました。
やはり、あのバブル崩壊の教訓というものは、日本の社会の中で実はものすごく大きな負の遺産というか、国民の心も企業家のマインドも含めて傷つけましたから、二度とバブルというものを起こしてはならないと考えていかざるを得ないということ。
同時に、今最大の課題は、アベノミクスの中でも金融政策における出口戦略が明確ではないことが大きな問題であり課題だと思っています。ましてや、マイナス金利といっても、貸し出しする地方の金融機関が貸せない、貸す先がない。それから日銀がどんどん買い戻しているという、やはりこの異常な現象をどのように是正していくか。
ここをしっかりと今後とも、出口戦略を含めて、しっかりとした政策をつくり出していくことが喫緊の課題だと思っていますので、金融緩和は極めて、「悪魔の誘いだ」と言っては言い過ぎですが、ここに衝動的に駆られていったときに、金融緩和の行き過ぎは決していいことではないということで、我々はそれはとらなかったということです。
取材&文:酒井佑人(ゲイレポーター)
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