東京国際映画祭2026開幕

2026年10月26日、
アジア最大級の国際映画祭、
東京国際映画祭が開幕した。

1985年に創設された同映画祭は、
岡田茂氏、瀬島龍三氏らの尽力により実現

TIFF(Tokyo International Film Festival)は、今年から3つの新機軸を掲げている。

一つ目は、
「Nippon Cinema Now」。
新鋭・気鋭の才能を発掘・顕彰し、
日本映画のグローバル化を目指す。

二つ目は、
国際交流基金との共催により、
日本と東南アジアの映画プログラマーによる共創・交流の場を築くことを目指す。

三つ目は、
女性映画人を顕彰する「川喜多かしこ映画文化賞」の創設。

新たな指針を打ち出した2026年のTIFFに、ぜひ期待したい。

2025年のTIFFでは、
イスラエルとパレスチナ、それぞれの視点で描かれた作品を上映した。

東京グランプリに輝いた
アンマリー・ジャシル監督の
『パレスチナ36』は、

1936年、英国統治下のパレスチナで起きた抵抗運動を描く作品である。

一方で、ヨーロッパで迫害を受け、パレスチナへ逃れてきたユダヤ人たちの記録映像も挿入されている。

舞台をドキュメンタリー化した
アモス・ギタイ監督の
『ポンペイのゴーレム』は、

ユダヤ人が長い歴史の中で、いかに迫害され、虐殺の対象とされてきたかが描かれている。

ゴーレムとは、ユダヤ人を守るために生み出された伝説の人造人間である。

ここで、アンマリー・ジャシル監督、アモス・ギタイ監督の発言を紹介したい。

“Connection is what I’m interested in.”

「私が関心を持っているのは、人と人とのつながりです」

映画を作るのは観客とつながるためであり、私たちはこの世界で互いにつながる必要がある。

― アンマリー・ジャシル

「イスラエル人はパレスチナ人の苦しみを認識する必要があり、パレスチナ人もまた、ユダヤ人の苦しみを認める必要があります。」

「わたしたちは他者の苦しみに敏感でなければならない。」

― アモス・ギタイ

東京国際映画祭の舞台で、
アンマリー・ジャシル監督と
アモス・ギタイ監督による対話の機会が実現することを期待したい。

こうした映画作品や監督の言葉に触れると、中立とは何かを改めて考えさせられる。

水俣病研究に生涯を捧げた医師、
原田正純氏の言葉を添えたい。

「本当の中立っていうのは、そういう弱い立場の方に立つことじゃないですか。」

平等とは、声を奪われている側の声が聞こえる状態をつくることから始まる。

映画は、
国籍も、階級も、宗教も、思想も、年齢も、境遇も異なる人々を描いていく。

私たちは映画という物語を通じて、自分とは異なる他者の人生を生きることができる。

対立から対話……ダイアローグへ。
共感からコンパッションへ。

映画祭を通じ、他者への心の扉が開かれることを願いたい。

France10記者 黒岩亜紗子


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