
欧州議会議員選挙で第一党に躍進したフランスの極右政党『国民戦線』がジャンマリー=ルペン名誉党首(85)の問題発言で揺れている。6月6日に公開された動画の中でルペン名誉党首は仏歌手でユダヤ人のPatrick Bruel氏らが国民戦線を批判していることを受け
「驚きを感じない。今度はこちらが丸焼きにしてやる(窯に入れてやる)」
と挑発的発言を行ったところ、窯(fournée)がアウシュビッツを想起させるため、「反ユダヤ的発言」だという非難がフランス中で巻き起こった。アウシュビッツを「歴史の細部に過ぎない」と以前に発言して物議を醸したこともあるルペン名誉党首は「Bruel氏がユダヤ人だとは知らなかった」と弁明するが、娘のマリーヌ=ルペン党首は「国民戦線の立場に反する」と批判し、党Webに常時掲載されていたパパ・ルペンのblogを削除する措置に出た。
パパ・ルペンは再掲載を求める公開書簡をマリーヌ党首宛に出したが、マリーヌ党首と話す機会すら得られておらず、完全に断絶状態だという。
党本部で会見に臨むジャンマリー=ルペン名誉党首(撮影:及川健二)
穏健化路線を進めるマリーヌ=ルペン党首がついに創立者である実父のジャンマリー=ルペン名誉党首を完全に切り捨てるのか……。フランスのみならず、世界の注目が集まっている。
マリーヌ=ルペン「国民戦線」党首(撮影:及川健二)
時に国家主義者は正義を語る。しかし、その正義を追求すれば己の国家主義哲学が破綻することに気づかない。