ユネスコ(国連教育科学文化機関)が世界記憶遺産として、第二次世界大戦中の「南京大虐殺」に関する資料を登録したことをめぐり、政権内からユネスコへの拠出金を停止しようという声があがっている。そのことについて、河野洋平・元衆議院議長が2015年10月15日、東京・有楽町の外国特派員協会で開かれた記者会見で、「まったく恥ずかしいことだ」と苦言を呈した。
かつて官房長官時代に、旧日本軍による従軍慰安婦への関与を認める「河野談話」を発表した河野氏は、2009年に政界を引退している。この日の会見で河野氏は、中国など隣国との関係改善を訴えた。また、国会内外で紛糾した安保法案に触れて、「違憲か合憲かわからないまま法律ができた」「政治家が民意とかけはなれているのではないか」と述べた。
また、ユネスコが世界記憶遺産に「南京大虐殺」に関する資料を登録したことについて、外国メディアの記者から見解を求められると、河野氏は「南京で虐殺があったことは、日中両国の歴史認識として、事実であることが確認されている」「問題は、そこで何人が殺されたかという点だ」と答えた。
そのうえで、河野氏は「南京事件そのものがなかったのではないか、少し事実と違うのでないか、という議論に持っていくべきではない。事実は事実として認めながら、記憶遺産として残す以上、より正確なものを残すために、日中両国がもっと資料に基づく真摯な議論をする必要がある」と付け加えた。
今回の世界記憶遺産の登録をめぐっては、政権内部からユネスコに対する拠出金を停止しようという声が出ている。このような動きについて、河野氏は「ユネスコが果たしている役割は相当大きなものだと世界中が認めている。そんなユネスコの活動に大きな影響を及ぼす意見が国内から出てくることは、まったく恥ずかしいことだ」と批判した。
参照:弁護士ドットコム・ニュース
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