玉木雄一郎「希望の党」代表の定例会見が2018年3月20日、衆院内で行われた。
冒頭発言
まず、森友学園の決裁文書改ざん問題についてでありますが、昨日も新たに1枚、これまで明らかになっていなかった文書の存在が明らかになりました。昭恵夫人に棟上げに来てもらうと、そのことに影響を与えないために土地の値段を差し引いて処理をしようと、また、航空局にそういう提案をしてもらうというような、これまで明らかになっていなかった、あるいは疑惑だったことが証明されるような新しい文書が明らかになって、そういったことも隠していたことについて非常に憤りを感じます。併せて、財務省のほうから国土交通省に対しても、その整合性を取るための改ざんを要求していたというような報道もありますし、例のごみの深さの件について、3.8メートル、9.9メートルというのが虚偽のものであったというふうに検察側に証言しているというような報道もありました。
私自身、この1年間、予算委員会また国土交通委員会をはじめとして、今のような問題点を何度も取り上げてきましたけれども、その都度、問題はない、適正に処理されている、処分されているということを大臣も事務方も答弁を繰り返してきましたけれども、それが全て虚偽だったということが明らかになりつつありますから、その意味でも、この間、国会と国民を愚弄し続けてきたというこの安倍政権の姿勢に対しては、厳しく断罪したいと思いますし、何よりも真実を速やかに全て明らかにしてもらいたいと思います。
その上で、麻生財務大臣の辞任はもう不可避だと思います。依然として、佐川局長が、あるいは佐川局長以下が悪いと、役所に責任を押し付けるような答弁も目立ちますけれども、やはり最高責任者としての麻生財務大臣の責任は免れないと思いますので、あとはもうタイミングだけというふうに思いますが、政治家としての責任は不可欠だと思います。
週末、世論調査が出ておりますが、麻生大臣が辞めろというその率よりも、安倍昭恵さんの証人喚問を求める声、これは60%以上を超えていますし、安倍総理自身の責任を問う、その数字も6割を超えているということで、やはり安倍総理夫妻、あるいは安倍政権全体に対する大変厳しい国民の声が表れているということでありまして、いずれにせよ、政治家が責任を取らなければいけませんし、安倍内閣として責任を取らなければいけないということを改めて申し上げたいと思います。
真実を明らかにするという意味では、本日、来週27日に佐川前理財局長の証人喚問が決まりました。ぜひ、洗いざらい、真実を話していただきたいと思っております。
これはもう佐川前長官、前局長だけでできる話ではないので、これは証人喚問をするかどうかは別として、実際にこの間、籠池さんと交渉に当たってきた近畿財務局の担当者、そして森友学園の顧問弁護士、また、そのときに本省で決裁をした迫田理財局長、また、答弁については当然、総理の答弁との整合性を取ったはずでありますから、官邸の関係者、特に総理秘書官、こういった方々にもぜひ話をしっかり聞いた上で、それの説明をいただきたいと思います。単にこれは理財局、佐川局長だけでできた話ではありませんので、政治家はもちろんのこと、行政官の中でも具体的にこのことと関わった関係者の皆さんには、ぜひ正直に証言をしかるべき場で行っていただきたいと思います。
二つ目に、年金のデータについて、昨日、日本年金機構がデータを委託した業者が、契約で禁止されている再委託を中国の業者に対して行ったということが明らかになりました。個人情報が流出する可能性もあるので大変大きな問題だと思っておりますが、先ほどの森友学園の文書管理の問題もそうなんですが、文書やデータといった、こういった大事な情報についての管理があまりにもずさん、これが今の安倍政権ではないかと思います。自分に都合の悪い文書やデータは隠したり加工したりする一方、国民の大切なデータについては、これは全く関心なしというのは非常に問題であるし、こういったことが政府に対する信頼を大きく損ねていると思っております。
今回、年金の過少給付という問題があったのでこういうことが明らかになりましたけれども、もしこういう問題がなければ、見過ごされていた可能性も高いと思いますので、この年金のデータだけでなく、他の役所においてもこうした海外の企業に再委託しているようなケースがないのかどうか、政府においてはしっかりと調査をしてもらいたいと思います。
3点目、名古屋の公立中学校で前川前次官が授業をしたということに対する文科省の調査が問題になっていますが、改めて、それをもともと文科省に問い合わせをしたのは、自民党の議員だということが明らかになりました。教育基本法は、教育が不当な支配に服することなくということを明確にうたっておりますけれども、まさに政治の不当な介入を防ぐというのが法の趣旨であり、この教育権の独立性を侵すようなことを自民党議員がしていることについては、これは民主主義国家においては由々しき問題だと思います。
今回、特に個別の授業に介入をして教育現場を萎縮させるということを狙った、あるいは前川前次官に対する活動、彼の活動に対する萎縮効果というものも併せて狙ったものであって、教育の公平・公正な執行と教育内容を歪めるようなものであって、断じて許されないと思っております。
安倍一強と言われる中で、特に、森友学園もそうです、加計学園もそうです、今回の公立中学校への介入もそうですが、教育分野において国家の介入というものがさまざまな形で見られていることは、非常に嫌な空気が蔓延しているというふうに思います。今回の自民党議員の、あるいはそれを受けた文科省の対応というのも、そうした空気に支配されている一つの現象ではないかということで、大変懸念を感じております。私からは以上です。
質疑応答
【記者】冒頭ご説明いただいた森友関係で佐川さんの証人喚問が決まったということですけれども、この間、野党として非常に長い間、佐川さんらの証人喚問を求めてこられたかと思います。ようやくという感じで受け止めていらっしゃるのかと、このタイミングで決まったということについてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
【代表】遅きに失したと思います。そもそも去年の段階で、まず、後になって出てきた文書をしっかり出していれば、今のような混乱はなかったと思いますし、佐川さんの証人喚問についても、辞めるときに、あのときでも佐川さんが最高責任者だというふうに麻生大臣はおっしゃっておりましたから、辞めさせずに、真相をしっかりと話をして国会に対する責任を果たせと、あそこで麻生大臣がちゃんと言えば、こういう遅れ、遅延といったものは生じなかったと思いますので、ようやく実現したかなと思います。
ただ、(証人喚問では)刑事訴追を受ける恐れがあるので、答えないという可能性ももちろんあり得ると思いますが、これはぜひ佐川前局長にお願いしたいのは、正直に、自分が指示したこと、あるいは指示されたこと、一体この間何があったのかということについて洗いざらいもう話してもらいたい。国に奉じようということで、高い志で公務員になったと思います。しかし、その最後がこういうような形で本当に終わっていいのかと思いますので、最後の公への奉仕という意味で、正直に話していただくことが最後の大切な公務ではないかと思います。
併せて、佐川さんが問題にされているのは、既に行われた(国有地に関わる)行政処分についての説明がまずかったということで、いろいろと糾弾をされているわけでありますが、そもそもこの問題になった国有地の貸し付けあるいは売り払いについて、果たして正しかったのかどうか、そして、そのことを判断した方は別にいらっしゃるわけですから、前理財局長と関係者の意見をしっかりと話を聞くことも重要だと思っていますので、参考人等で国会にお出ましをいただいて、これも真実を全て話していただきたいと思います。
【記者】働き方のデータもですし、佐川さんの証人喚問もですが、野党が結束して取り組んだ結果が出たのかという一面があると思うのですが、現時点での野党再編ですとか、あと希望の党と民進党の関係、今のスタンスや考え方について改めて教えてください。
【代表】まず、去年の10月の選挙で野党が残念ながらばらばらになってしまいました。ただ、昨年の選挙というのは、もし仮に、今明らかになっている全ての情報が国民の前に示されていれば、今の議席配分、今の結果に本当になったのだろうか。もっと言うと、あのとき選挙が打てたのだろうかということを考えると、ある意味、安倍総理のこの事実を隠した中での選挙という非常によこしまな戦略が功を奏したという中で、野党がばらばらになっているのだと思います。
その意味では、真実が今は次第に明らかになっている中で、昨年の選挙のある意味私は正統性自体も問われる事態になっていくと思うし、その選挙によってわれわれがばらばらになって、安倍政権に対して向き合う力が弱くなっているとするのであれば、私たちももう一度、結集に向けた歩みを始めなくてはならないのではないかと思っています。その意味では、この間ヒアリング等は野党が結束してやってきましたけれども、特に旧民進党の3党については、やはり何らかの形で今以上に力を結集する方向に進んでいかなければならないと思います。
その意味でぜひ、これはまず野党第一党である立憲民主党・枝野代表のリーダーシップを期待したいと思いますが、このような状況の中でしっかりと野党が安倍政権に向き合っていかなければなりませんし、安倍政権の支持率が落ちても野党の支持率に変化がないということについては、われわれは厳しく現に受け止めなければいけないし、しっかりとした対立軸と受け皿をつくる責任を強く今感じています。
ですから、まずは野党第一党の立憲民主党・枝野代表のリーダーシップに期待したいと思いますけれども、必要に応じて枝野代表、大塚代表、そして私で3党首会談を行うなど、これからの連携を強化していく、あるいはこの国会をどのように力を合わせて進めていくのか、安倍政権に向き合っていくのか、そのための力合わせのさまざまな方策を考えていかなければならないと思っています。
【記者】今のご発言の中で、野党の支持率が回復できていないその一因として、対立軸をつくる必要があるというふうな趣旨の発言がありましたけれども、野党が再結集をすれば、世論調査で安倍政権の支持率が落ちた分だけ、再結集された野党に跳ね返ってくるというお考えなんでしょうか。
【代表】すぐに支持が上がるとも思っていませんが、ただ、やはりそれぞれ五、六十しかいない政党によって、その数が非常に少ないということから、国会の運営、例えばそれぞれの委員会がありますけれども、いろんなところに同じ人が出て非常に忙しい中でやらざるを得ないとか、あるいは衆参の連携が必ずしも上手に取れない、効果的にとれないといったこともあろうかと思います。ですから、さまざまな方策があると思いますが、どうやったら野党がしっかりとしたまとまりとなって、特にこの問題がそうですけれども、安倍政権にしっかりと対峙していけるのかと。これは単に野党の中の問題ではなくて、国民の負託にしっかりと応えていくという意味でも、野党の力をどう結集していくのかという意味で、われわれ野党も今問われていると思っています。
【記者】希望の党は25日で結党から半年を迎えます。民進党は28日で事実上の分裂から半年ということになりますが、これまでの歩みを振り返ってどうだったかということと、今後どのように党を引っ張って、また野党連携に取り組みたいのかというのが1問と、もう1問、今回の財務省の改ざんに関しては、政府・与党はもちろんのこと、真相解明に関しては野党が果たすべき役割が非常に大きいと思うんですけれども、現状、野党はその責任を果たせるとお考えですか。
【代表】この間、真実が明らかになってくる過程で、今回、3月2日の朝日新聞の記事が一つのきっかけではありましたけれども、ただ振り返ると、もう約1年以上にわたって、時に批判も受けながら、こつこつ事実を積み重ねながら、野党各党、特に旧民進党が中心となって、私自身もそうですけれども、審議を積み重ねてきたことがここに至っているんだと思いますし、今明らかになっている事実を照らし合わせてみると、結局、私たちが指摘したことが全て正しかったということが次第に明らかになってきています。その意味では、やはり国会という中での野党の存在というのは、こうした行政におかしいことが起こったときにはそれをしっかり正していくと、いわゆる行政監視機能を今こそ野党が果たさなければならないという意味で、非常に野党の役割、今大きくなっていると思います。
一方で、先ほど申し上げたようにばらばらになっていて、果たして今の私たちが、国民が期待しているレベルの働きやチェックが厳しく、鋭くできているのかどうか、そのことについては常に厳しく自らを省みなければならないと思っています。少なくとも先ほど申し上げたように、去年も私やったから分かるんですが、やっぱり数がある程度まとまって、そして互いに協力してやらないと、例えば質問がダブったりとか、うまくつながらなかったりとか、衆参で少し連携が取れなかったりとか、いろんな問題が出てくるので、その意味では野党の結集、結束ということが非常に大事だなということを通常国会になって改めて感じました。
半年振り返ってみると、まず特別国会のときにも、ばらばらでは野党は駄目だなというのは痛感したということは、これまで何度も申し上げている通りでありますが、通常国会に入って、特にこの森友学園の問題が再燃して、今いろいろな追及、審議を各委員会でも行っている中で、やはりある程度同じ志の者は、少なくとも安倍政権にしっかり対峙してもう一つの政権を担える軸をつくろうという勢力は、結集していくべきだなという思いを特に強くしています。
【記者】きょう玉木代表の言われたことは、私も同感です。それに異論はないんですが、一つだけちょっと気になることがありまして、教えてください。もともと希望の党の代表であった小池百合子さん、今、知事に専念されておりますが、去年の知事になられたすぐ後の卒業式シーズンのときに、都立の看護学校で、ちょっと賛否が分かれているんですけど、卒業式で日の丸・君が代を積極的にやられたというような報道があったんですけれども、今言った教育現場に介入しないとかということと、私は国旗・国歌問題はやっぱり一つの押し付けだと思って、重なる問題だと思っておりますが、このことについては玉木代表はどのように捉えていますか。
【代表】私は小さい頃から国旗・国歌を、国旗を掲げ、国歌を歌う学校でずっと育ってきましたので、特段何かそのことによって不当な支配を受けたという意識もありませんし、もちろん押し付けになってはいけませんけれども、私自身は、ちょっと事実関係、その小池知事の話はよく分かりませんけれども、国旗を掲げたから、あるいは国歌を歌ったからといって、即それが何か不当な押し付けになるとは考えていません。
【記者】ただ、先生たちは処分されているんです。実際話を聞くと、物が言えなくなっているというのを現場から、今でも先生から聞くんです。そういうことについてはどう思いますか。
【代表】すみません、ちょっと事実関係を不勉強で把握していないので、申し訳ありません。
【記者】官房機密費の関係でお伺いします。本日、官房機密費の資料の一部が開示されまして、9割近くが官房長官の裁量で使用できる政策推進費に集中していることが明らかになりました。そもそもこういった使途とか支出先を明らかにしない官房機密費の是非について、代表はどのようにお考えでしょうか。
【代表】私はできる限り開示していくべきだと思います。もちろん性質上、例えば外務省の持っている報償費のようなものを全部は開示したら仕事にならないというのはよく分かるんですが、ただ、本当に何に使っているのかと。野党対策費に使っているとか、いろんなことも言われますけれども、可能な限りで公表をしていくという流れをつくることによって、原資はこれ、国民の税金ですから、おかしなものに使われない、使わないという一つの動機付け、インセンティブにもなるのかなと思いますので、可能な限りで公表していくという方向性については、私は賛成です。
【記者】先ほど来出ている野党の再結集ということですけれども、これは具体的に何か党を描いていらっしゃるのか、あるいは、1月の段階で一度頓挫しましたけれども、統一会派みたいなものを考えていらっしゃるのかとか、何か今、具体的に方向性というのは見えていますでしょうか。
【代表】具体的なものはありませんけれども、再結集というよりも、もう一度どうやって、元に戻ることはそもそもないと思っています。もう新しい党で選挙もしましたし、それぞれ国民に選んでいただきましたから、元に戻るという意味での再結集はあり得ないと思うし、そうすべきでもないと思っています。ただ、小さい野党が併存していることによって、国民の負託に応えることができていないということについては重く受け止めるべきであって、この間、それこそどういう形の協力ができるのか、国会の中での協力、特に国政選挙で言えば、やはり参議院選挙に向けて、今の与党の議席をいかに減らし、野党側の議席を増やすのかということについては、かなり共通の利益があると思いますから、その意味でもこれからの野党の力の合わせ方、今、問い合わせをいただいたその方法、手法についても話し合うような党首会談といったものも、私は一つのスタートになるのかなと考えています。
いずれにしても、これは野党第一党の立憲民主党さんのリーダーシップということを期待せざるを得ませんけれども、われわれとしてもできるだけ力を合わせて、政権与党のおかしなところを浮き彫りにしていく、それを正していく、そのための力は結集していくべきだと思っています。
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