復刻!中村 中さんに独占インタビュー【後編】

中村 中さんに独占インタビュー(後編)
8月27日14時3分配信 オーマイニュース

 10代を中心にブレーク中のカリスマ歌手・中村 中(なかむら・あたる)さん独占インタビューの記事の後編です。

■メジャーデビュー、「夏が来る」、恋愛、失恋

────「汚れた下着」でメジャーデビューをする前は何をやっていましたか? 

中村 歌を書いたり、いろんなアルバイトをしたり、ライブをいっぱいしていました。音楽にどっぷり浸(つ)かっていましたね。「お勉強期間」という感じの時期でした。

────一番印象的だったアルバイトは何ですか? 

中村 ライブハウスで働いたことかな。今の音楽に通ずるいい材料でしたよ。音楽にかかわるところで働くことは気分が良かったです。着ぐるみの仕事もしましたね。「自分じゃなくなれる」時間が楽しかった。自分だと思わないで周りの人が接してくるわけですからね。違う人になったみたいで楽しかった。

────メジャーデビューをして、一番変わったことは何ですか?

中村 聞いてくださる人がいると分かったことです。もちろん、デビュー前にもいらっしゃったんですけど、手応えとしては自分が球を投げているだけの感じでした。デビューしてからは、少しずつ、球をどこかでパーンと受け取ってもらえる音が聞こえるようになりました。

────大黒摩季さんのヒット曲『夏が来る』が好きだそうですね。歌詞にある「真っ白な白馬に乗った王子様」は、中村さんにはまだ来ませんか?

中村 いないですねー。気づいていないだけかもしれませんけど。

────『夏が来る』はどういうところが好きですか?

中村 「何としてでも幸せになってやる!」という本能が好きです。大黒さんの詩はよく分かりますね。ちょっと泣けば愛してもらえそうな人って山ほどいて、そういうカワイイ子って可愛いというだけの理由で結婚できちゃうじゃないですか。あいにく私はそういう立場にないので、簡単に結婚できない側からズバリ、大黒さんがいうことをいってくれたところが好きですね。

────中村さんは恋愛しているとき、どうなりますか。

中村 周りが見えなくなっていますね。自分では気づかないですけれど、その人を一番に考えています。自分のことより先に考えるようになります。

────失恋したときはどう対処されますか?

中村 普通に悲しんだり、普通に泣いたり、普通に恨んだり、でもそのまま普通に愛していたりします。対処も何もない。時期が来れば癒えるものだし、何年たってこびりついているものは、それはそれだし、ダメになったりしてももともと仕方なかったと思うクセがありますね。歌にすることで救われているかもしれませんね。

◆『友達の詩』『さよなら十代』『リンゴ売り』誕生秘話

────中村さんの曲の中で、いま最も売れている『友達の詩(うた)』はいつどのように誕生したのですか?

中村 普通に生きていて、できちゃったから分かんないですけれど、15歳のころに上手(うま)く自分を表現できないまま、「人を好きになるなんてもっての他(ほか)なんだろう」「私みたいな人間は人を好きになっちゃいけないんだ」と思っていて、できたんです。そのころは、好きな人といられる一番良い方法が友達でいることでした。好きの人のそばにいて、自分も相手も傷つかない、その一番贅沢(ぜいたく)な方法が友達でいることでした。

────『さよなら十代』を作ったのはどのような心境から?

中村 私の曲の中でも大好きな歌なんですが、これは成人式の日にそのまま書いたものです。仕事があって、私は成人式には出られませんでした。「私たちと同じ成人で、デビューする人がいます」ということで、成人式の舞台に立つほうになっちゃったんです。そのとき『友達の詩』を歌いました。

 楽屋にいたから「成人とはなんぞや」という偉い人の話は一切聞いていません。「式に出ただけで大人になれるのだろうか」「なれていない人だっていっぱいいるだろう」「そんなことで大人になるって何だろうか」って考えました。そうすると、不思議と「成人式を受けなかったら大人になれないんじゃないだろうか」と、出られなかったことが悔しくなった。私側で何かしなくちゃ、と思いました。決意表明じゃないけれど、学校に行かないで単位をとるみたいな方法を考えたんですね。それが歌だったんです。

 『さよなら十代』は成人することの覚悟を書いた曲です。「明日からは 誰もが 君の名を知っている」というフレーズは、成人したら悪いことをしたら名前が載ることになる、間違ったら間違いだと裁かれるようになるというメッセージで、「会えない人も増えるだろうし、ぐっと我慢しなきゃいけないときが増えてくるけど、それを哀しいと思うなよ、オマエ!」と自分に言いたかったんですね。

────中村さんの歌はそれまで「若さ」がウリだったのに、『リンゴ売り』は大人の雰囲気の成熟した詩になっていますね。

中村 実は『さよなら十代』より前の曲なんです。そのとき、そのときの気持ちが大きく表れているんですけど、曲を作ったとき、すごく場末(ばすえ)な気分だったんです。鬱蒼(うっそう)としていたんですね。

 私だってアイドルやりたかったのに、何の差もないのに、アイドルになれない……という差別にすごく憤慨していて、私だって愛して欲しいっていうことを、サビの「私を買ってください」という表現にしました。こっちだって、好きで「中村中」をやっているんじゃないんだっていう、ハッパをかけている歌です。いま思うとスレていたんですね。

◆理想のカップルは月桂冠のCM

────歌詞のテーマには恋愛が多くありますが、中村さんにとって「理想のカップル」は? あるいは、理想の恋愛はどのようなものですか?

中村 無条件で誰かのそばにいること、無条件でそこにいてくれることですね。どっかでつながっていればいい。例えるなら、怖い夢を見てとっさに無条件で電話をかけられる相手がいるというのが理想ですね。相手としても「そうだよね、オレに電話かけてくるよね」って無条件で受け入れられるのがいい。

 理想は、永作博美さんが出演されている月桂冠のCMに出てくるカップルです。「夫婦の次は何になろう」っていうんですよ。夫婦の次を考えている、ここから先も話し合えるカップルなんです。

 あと、全然ずれていても良いと思います。夫婦で、お互いのズレを認め合っていたりする。旦那さんがスキン・ヘッドにしちゃう印象的なCMがあるんですね。スキンにしたのを奥さんが大笑いするんですよ。「ハハハッ」て笑って、そのまま夫婦で買い物に行くんですけど、奥さんは恥ずかしくて嫌だ、嫌だって言いながら、最後には自宅で晩酌の用意をする。そうしながら「そんなアナタも悪くないな」と思い、見ている、それだけ楽しませてくれることに気づく。

 「私の趣味はあなたです」って言葉が出てくるんですけど、ああいう夫婦になりたいなという気持ちはありますね。自分の趣味がアナタだっていうのがすばらしいと思います。

────自分自身の恋愛にインスパイアされて曲ができることはありますか?

中村 ありますよ。生きていて見ているものすべてにインスパイアされていますから、恋愛という括(くく)りではなく、あらゆるものからインスピレーションを受けています。

────詩やメロディーはどこから湧(わ)いてくるのですか?

中村 伝えたい何かがあるときですね。何もなくて空っぽだったら、曲は書かなかったはずです。でも、どこから湧いて出てくるかは私自身もわからないんです。知りたいですね。

────創作の原動力となっているものは何ですか?

中村 いきおいとか衝動、フラストレーション、怒り、悲しみですね。最近は嬉しいという気持ちから曲を書くこともありますけれど、これまでは断然、負のオーラをエネルギーにしていました。負のオーラを人にぶつけたら、犯罪じゃないですか。負のオーラをどこかに吐き出さなければいけないとき、誰かにぶつけて嫌な思いにさせるより、曲にするという感じでしたね。衝動がガソリン・軽油みたいなものです。

────歌以外ではまっていることはありますか?

中村 人間にはまっています。恋愛であったり、友情であったり。自分自身は「歌の人間」だという自覚をちょっとずつ持ってきているので、歌以外に関心があるとすれば、他人ということになります。自分以外の人に興味を持っています。人と出会うこと、人から離れることなど、誰かありきで自分が生きているからです。

■槇原敬之の優しさ

────中村さんは槇原敬之さんが大好きだそうですね。どの辺りが好きですか?

中村 さっくりした言い方ですけど、優しさがあるところが好きです。なぜ優しいのかというと、ちゃんと傷ついてきた人だからではないかと思います。痛み、傷をよく知っている。すごく温かい生心(なまごころ)の持ち主ですよね。槇原さんは私にとって神様みたいな存在です。

────どういうところから優しさ・温かさを感じますか?

中村 槇原さんの真摯(しんし)な姿勢に対してです。悪かったらちゃんと謝るような……。恋の歌を例にあげます。恋の歌って、女性が扱うと、すったもんだしたところがピックアップされて、刺々しい作品になりがちですよね。でも、男性の書く恋の歌って、もうちょっと、真心(まごころ)寄りなんですよ。形よりも心の話が多い。

 私は男性の歌うラブ・ソングが好きで、小田和正さんや森山直太朗さんが好きなんです。中でも、絶対に男の人じゃなければ出せない真心が槇原さんの歌にはある。そして、湿り気がある。女性が好きそうな情景描写が湿気(しめ)っぽかったりする。歌を聴くと、そこまで観ているのかと感心させられますね。

 槇原さんが時に悪魔になるときも、それは痛みを知っているからできる技です。ほわ~とした人柄からも優しさを感じます。犬好きというところからもほんわかしたオーラが出ているじゃないですか。テレビで見たのですけど、松本人志さんが作詞された『チキンライス』を見て槇原さんは感動して涙してしまうんですね。そんな心の優しい人なんです。

 槇原さんの歌に『You are so beautiful』という曲があるんですが、その内容はつまり、私はこんなに素敵な人と出会ったよ、ものすごく美しい人にあった、でもそれが神様じゃなくて同じ人間なのが素晴らしいというもの。そういう気持ちに気づいているアナタも美しいと思ったんです。

────槇原さんの歌で好きな曲は何ですか?

中村 ライブで1回歌ったことのある『THE END OF THE WORLD』(この世の終わり)ですね。「いつも雨だね、僕らが会う日は」という歌詞で、周りに認められなかった不倫カップルの歌です。シングル『もう恋なんてしない』のカップリングに入っている『夏のスピード』、『素直』、『MILK』、『今年の冬』。最近の曲で一番好きなのは『僕が一番欲しかったもの』です。

────この曲のどのような点に惹かれましたか?

中村 この曲では、自分で迷いながら、「アッ、僕は結局こういうモノが欲しかったんだ」って最後に分かりますよね。冒頭では何が欲しいのか分からない。人に色んなものをすっかり譲る、自分が大事だと思っているものを自分と同じくらいに必要としている人がいるとそれをあげる。でも、その人が笑ってくれたから、これで良かったのかな……という風に落ち着いていく。模索から始まり、振り返ったら、自分であげたものでたくさんの人が笑っていた。この喜びが僕が一番欲しかったモノだ、という歌詞ですよね。

 初めに聞いたとき、私にはできないことだなと思ったんですけど、これは誰しもができることだと今は思います。自分と曲を照らし合わせて、そういう私でいたいと思います。

■ちあきなおみ、小田和正

────尊敬するアーティストは誰ですか?

中村 ちあきなおみさんがすごく好きです。シンガーであることをすごく考えさせられたのは、ちあきさんの存在です。ちあきさんは歌を演じていらっしゃる。私は作品を作りますが、理想としては作品を作る自分とそれを歌っている自分というのは、分けて考えたい。

 歌う自分と曲を作る自分は同じではないと思うんです。曲を作るのって、細かく作っていって、ものを形にするような彫刻みたいな作業ですよね。形になったものをどう扱うかというシンガーの頭になったときに、できるだけ頭を使わないように私はしています。曲を作るので十分に頭を使ったと思うからです。ちあきさんを見ていて、シンガーとはある一方に振り切れなければいけないんだなと感じました。歌うってことは、頭で考えていちゃダメだと学びました。

────小田和正さんのラブ・ソングでは何が好きですか?

中村 『秋の気配』ですね。「こんな事は今まで無かった 僕があなたから離れてゆく」という歌詞なんですけど、男の人にそう言われるとかなわなくなっちゃいますね。

 恋をして離れていく立場って、あぁ哀しい、僕から彼女が離れていくから……っていうのが普通じゃないですか。でもこの歌は、自分が恋人から離れていってしまうことを止められなくなってしまった人の歌なんです。

 「おかしいな、どうしてだろう、なぜか別れようとしている。なぜか避けようとしてしまう」、それに気づいてしまう。気づいているのに止められない歯がゆさを歌っていて、2人で離れていったのかもしれないけれど、この歌詞は自分を憎んでいるんですね。僕のせいでダメになっていく恋――という物の見方です。そういうことを男の人に歌われてしまうと、かなわなくなっちゃいますね。そんな風に思わないで、って思ってしまう。「お互いに悪いのに」って、私からすると言いたくなってしまうんですよね。

■もっとも大切な思い出、今後の抱負

────是枝裕和・監督の映画『ワンダフルライフ』では、人間が死んだ後、1週間で人生の中でもっとも大切な思い出を1つ選ばなければならないという設定になっています。中村さんがもしこの映画のように、もっとも大切な思い出を選びなさいといま言われたら、何を選びますか?

中村 私は無責任なことがいえないので、選べないですね。選べるとしたらこんなに曲を書いていません。選べたら、多分、半分くらい、曲は書けなかったと思います。

────最後の質問になりますが、今後の抱負を聞かせていただけますか。

中村 まもなくアルバムを作ります。そこにいまの自分らしさが詰められてくると思います。今後は、真心や優しさがこもった作品を作っていきたいですね。

 ファースト・アルバムが「ギザギザ」だとすると、セカンド・アルバムが「ドロッ」という感じです。それがいつか、「フワッ」みたいになっていったらいいなと思っています。

(記者:OIKAWA Henri-Kenji



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